ご相談内容

ご依頼者様は、お父様の相続に関して、他の相続人であるご兄弟との間で遺産分割協議を行っていましたが、複数の問題が解決できず、協議が難航していました。主な争点は、多額の借入金を伴う不動産建設プロジェクトの扱い、遺産の範囲と評価、過去の清算問題などでした。ご依頼者様はご結婚に伴い日本国籍から離脱し、海外(アメリカ)にお住まいであったため、複雑な交渉や法的手続きをご自身で行うことが難しく、当事務所にご相談されました。


ご依頼後

当事務所の弁護士がご依頼者様の代理人として、相手方代理人弁護士と交渉しましたが、双方の主張に大きな隔たりがあったため、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。

調停では、当事務所の弁護士が、ご依頼者様の正当な権利を主張し、証拠に基づき相手方の主張の不合理性を指摘しました。特に、不動産の評価については、固定資産税評価額ではなく時価を基準とすることを強く求め、建築中の物件についても資産価値と負債評価の妥当性を争いました。

争点や処理すべき問題が多岐に渡っていたため、調停の間にも中間的な合意を何度かおこない、少しづつ解決に向かって歩みを進めました。

紆余曲折ありましたが、建築中の不動産については、共有状態のまま売却することができました。そのことにより、ご兄弟が代償金を支払って解決するという方向性が固まりました。

粘り強い交渉の結果、残った不動産は相手方が取得し、ご依頼者様には代償金が支払われる形で調停が成立しました。ご依頼者様は、これまでの仮払金等と合わせて、最終的に多額の代償金を取得することができました。


解決のポイント

本件では、以下の点が解決のポイントとなりました。

専門家による交渉と法的主張: 海外在住で交渉が困難な状況でも、弁護士が代理人として粘り強く交渉し、法的に的確な主張を行うことで、ご依頼者様の権利を守ることができました。
調停手続きの有効活用: 協議での解決が難しい場合でも、調停という法的手続きを利用することで、公平な第三者のもとで話し合いを進め、最終的な合意に至ることができました。
客観的証拠に基づく遺産評価: 不動産等の遺産評価において、客観的な資料や鑑定等に基づいて適正な評価を主張し、相手方の主張の不備を指摘することで、有利な条件での解決を引き出すことができました。
このように、相続問題は複雑化しやすく、特に海外にお住まいの方にとっては大きな負担となります。専門家である弁護士にご相談いただくことで、法的に正当な権利を実現し、納得のいく解決を目指すことができます。

記事の執筆者:弁護士 川島孝之

アロウズ法律事務所の代表弁護士川島孝之です。
これまで多くの相続事件を手掛けてきました。職人としての腕と、サービス業としての親身な対応を最高水準で両立させることをモットーとしています。