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遺贈って何?死因贈与と何が違うの?

更新日:7月12日


相続には遺贈という制度があります。しかし、遺贈とは何か、死因贈与とは何が違うの

かなど、詳しくご存知の方はあまりいらっしゃらないかと思います。そこで、本記事では

遺贈について弁護士が説明します。


 

1 遺贈とは

遺贈とは、遺言により、遺産の全部又は一部を無償で譲ることです。譲る相手は、相続人、相続人以外の者のいずれでも構いません。法人に譲ることもできます。財産を譲る者を遺贈者、財産を譲り受ける者を受贈者と呼びます。遺贈は、法定相続人以外の者に財産を譲りたい場合に利用されることが多いです。

遺贈には、以下の2つのタイプがあります。


⑴ 特定遺贈

特定遺贈とは、誰にどの財産をどれだけ遺贈するのかを遺言で具体的に定めていることを言います。例えば、「家を配偶者Aに遺贈する」という遺言がこれに当たります。この場合、借金などのマイナスの財産は遺言で指定されない限り相続することはありません。


⑵ 包括遺贈

包括遺贈とは、どの財産を遺贈するのかを指定せずに、誰にどの程度の遺産を遺贈す

るのかの割合を遺言で指定していることを言います。例えば、「遺産の3分の2を孫B

に遺贈する」という遺言がこれに当たります。遺贈者に借金などマイナスの財産

がある場合、それも割合に応じて相続することになります。遺贈を受けとる前にマイナ

スの財産の有無も確認しましょう。


 

2 死因贈与との違い

遺贈とよく似た制度に死因贈与があります。これは、被相続人(亡くなった者)の死亡を原因とした贈与契約のことです。例えば、「私が死んだら、この家を孫である●●に贈与する」という契約を被相続人と孫との間で結んでいた場合がこれに当たります。

遺贈は、単独行為であるため、遺贈者が生前に受贈者に遺贈することを伝えておく必要はなく、受贈者の同意も必要ありません。遺言書に遺贈する旨を記載しておくことで足ります。

これに対して、死因贈与はあくまで契約であるため、双方の同意が必要になります。必ずしも契約書を作成する必要はありませんが、後のトラブルを避けるためには契約書を作成しておくと安心です。基本は無償ですが、負担付贈与も可能です。


 

3 「相続させる」と「遺贈する」の違い

遺言書を書く際、「相続させる」という文言を使う場合と、「遺贈する」という文言を使う場合があります。厳密にはこの2つには違いがあります。


⑴ 相続人以外に財産を譲る場合

遺言で相続人以外に財産を譲る場合は、「遺贈する」と書く必要があります。「相続させる」と書いた場合、効力が発生しないので注意しましょう。


⑵ 相続人に財産を譲る場合

遺言で相続人に財産を譲る場合、基本的には「相続させる」「遺贈する」のどちらも使うことができます。ただし、譲る財産が不動産の場合は注意が必要です。


ⅰ 農地以外の不動産を譲る場合

農地以外の不動産を譲る場合は「相続させる」と書くことが基本です。この場合、相続人は単独で所有権移転登記手続きを行うことができます。

これに対して、「遺贈する」と書いた場合、受贈者は、他の相続人全員と共同で所有権移転登記手続きを行う必要があります。相続人全員の協力を得るのはかなりの手間と時間がかかることが多く、相続で何かしら揉めている場合は協力してくれない相続人が出てくる可能性もあります。非常に面倒なことになりかねないので、遺言書には「相続させる」と書きましょう。


ⅱ 農地を譲る場合

農地の所有権移転登記をするためには、農地法により、原則として農業委員会又は知事の許可が必要となっています。

農地を譲る場合も、「相続させる」と書くことが基本です。この場合、農業委員会への届け出は必要ですが、許可が不要になります。スムーズに登記手続きを行うことができます。

一方で、「遺贈する」と書いた場合、受贈者が相続人か否か、遺贈が特定遺贈か包括遺贈かで手続きが変わってきます。


① 受贈者が相続人の場合

受贈者が相続人である場合、包括遺贈でも特定遺贈でも農地法による許可は不要だとされています。そのため、遺言書に「遺贈する」と書いても問題はありませんが、混乱を避けるために「相続させる」と書く方が無難です。


② 受贈者が相続人以外の者である場合

受贈者が相続人以外の者で、包括遺贈である場合、農業委員会の許可は必要ありません。しかし、特定遺贈の場合は許可が必要です。受贈者が農業従事者でない場合は許可が下りない可能性があります。どうしても相続人以外の人に農地を譲りたい場合は、包括遺贈にしておくと手続きの手間が省けるかもしれませんが、思い通りの遺贈がされるとは限らないことに注意が必要です。


 

4 遺留分との関係

遺贈の額が大きいと相続人の遺留分を侵害してしまい、遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)を受けることがあります。遺留分とは、一定の範囲の相続人に認められている最低限の遺産取得割合のことです。遺留分侵害請求(遺留分減殺請求)とは、侵害された遺留分をお金で返還するよう求める請求のことです。

遺贈を受けた時は、その額が相続人の遺留分を侵害していないか確認しましょう。遺留分と遺留分侵害額請求について、詳しくは別の記事をご参照ください。


 

5 遺贈を受けたときの税金について

遺贈で財産を受け取った場合、税金が発生することがあります。発生する可能性があるものは、相続税、登録免許税、不動産取得税です。以下でそれぞれについてみていきます。


⑴ 相続税

遺贈では相続税が発生しますが、控除制度が設けられているため、相当額の遺産がない限り、相続税を払う必要はありません。ただし、被相続人の親、子、配偶者以外の人物が遺贈を受けた場合は相続税が2割増になることに注意しましょう。具体的な相続税の計算については、別の記事をご参照ください。


⑵ 登録免許税

遺贈により不動産を受け取った場合、不動産の登録申請が必要になります。これは、登録の際に手数料のような形で支払うことになります。相続の場合と遺贈の場合で税率が異なります。


相続の場合固定資産税評価額の0.4%

遺贈の場合固定資産税評価額の2%


例えば、相続人でないAが2000万円の不動産を遺贈で受け取った場合、2000万円×0.02=40万円の登録免許税がかかることになります。最終的には、登録免許税+相続税を支払うことになるので、それなりの税金がかかることもあります。


⑶ 不動産取得税

遺贈により不動産を受け取った場合、不動産取得税がかかる場合があります。これは、相続人以外の人物が、特定遺贈で受け取った際にかかります。税率は取得日、取得した不動産の種類によって異なります。特別控除や軽減規定等もあり、計算は複雑になるので、税理士へ相談することをおすすめします。


 

6 遺贈の放棄

「遺言で遺贈されることになっているけど、必要ないから受け取りたくない」ということもあります。そのような場合、遺贈を放棄することができます。ただし、包括遺贈と特定遺贈で手続きの方法、期限が異なります。


⑴ 包括遺贈の場合

包括遺贈の場合、相続放棄・承認に関する規定が適用されます。そのため、放棄をしたい場合は、裁判所に遺贈の放棄の申述が必要になります。放棄の申述は、原則として包括遺贈があることを知った時から3ヶ月以内にしなければなりません(民法915条)。


⑵ 特定遺贈の場合

特定遺贈の場合、遺贈を放棄するという意思表示をすることで放棄することができます。裁判所に対する手続きはありません。実務上は、相続人や遺言執行者に対して内容証明郵便を送り意思表示を行います。また、遺贈はいつでも放棄することができます(民法986条1項)。相続では遺産の確定が重要なので、早めに放棄の意思表示をしておくことをおすすめします。

遺贈に対する意思表示をはっきりしておかないと、相続人から遺贈を承認するのか放棄するのかの催促がされることがあります。この催促を受けてから一定期間内に意思表示をしないと、遺贈を承認したものとみなされます。催告の書面が届いたら無視せずに返事をしましょう。


 

7 おわりに

遺贈は便利な制度ですが、税金や遺留分などとの関係で複雑な問題に発展することもあります。困ったときは自力で解決しようとせず、弁護士や税理士といった専門家に相談しましょう。

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